誰が危険を生み出すのか。 [思考・志向・試行]

https://mag.minkabu.jp/mag-sogo/copycat_criminals/

この記事は、治安問題を取り上げたものだ。
模倣犯や工作員を防げという。

まあ、こういう記事が出てくるのは必然的な反応で、なんにも不思議はない。
この記事を書いた人を批難するつもりはない。ただ全くの典型的反応を少しも恥じること
なく、述べていることに苦言を呈するのみだ。

世論は安心・安全神話を信奉し、無駄な予算を投じることになるだろう。
私の税金もそうやって使われるのかと思うと残念でならない。


そもそも考えるべきは、犯罪を取り締まることではない。
犯罪を犯すような人をいかにして、出さないようにするかである。

その辺を歩いている幼稚園児を捕まえて話をしてみればいい。
彼らのどこに、犯罪性があるというのか。

この世に危険な行為があるとしたら、それは文化に過ぎない。
多くの人がそれを分かってない。

安倍議員襲撃事件の犯行は、この社会が生み出したものであって、
何か突然、降って湧いたものではないのだ。
つまり、この社会が彼を犯行に導いたという事である。

この社会には、ああいう犯行を生み出す土壌がある。
それを棚に上げて、犯罪を防げという言明は、全くの的外れである。

社会が目指すべきは、犯罪に備えた完璧な仕組みを作ることではなく、
犯罪が起こらないようにするという人々の関わりを生み出すことだ。

幼稚園児をみていて、この子たちの幾人かが、いずれ犯罪を犯すというのは全くの事実である。
それは、誰かがそのような行為を教えるからであるし、そのような行為を是とする人間たちが
大人として生存しているからである。その大人もまた、文化として教わったに過ぎない。

どんな人も、誰かの子供であった。
それ以外に生まれようがない世界である。(今のところは)

そして、どんな子供も立派に育ってほしいと願われたはずだ。
だが、文化はとっても不条理である。文化の中には、誰かを手製の銃で襲撃するという
事をする行動レパートリーを用意していたのである。

ちょっと歴史を紐解けば、別段、彼の行為は犯罪といえまいとわかる。
「人を殺しておいて、そんなわけがあるか!」と思うなら、なぜ戦争が正当化されるというのかを
原稿用紙10枚で説明してみてほしい。そんなのは不可能であろう。

我々の常識は常に、時空間的にローカルルールでしかない。
そのルールの逸脱を我々は法でさばく。だが、法とは社会規範であり、それは多くの人にとって
許容されるだろうルールに過ぎない。そして、その法を作り出すのがまさに国会議員たちである。

法もたかだか、人が作った人工物である。
その人工物を守らせるというのが国の権力である。
そう思ってるからこそ、今の与党連中は憲法を変えようとしているのだ。
より、自分たちが動きやすいように法を変えようというわけである。
そこには、戦争という殺人が、明示的に肯定されることになろう。

話を戻そう。
安全・安心のために、防衛費を増大しようという動きにしても、
街の安全のために、監視カメラを増やそうとう動きにしても、どちらにしても、
それは我々にとって嬉しい話ではない。むしろ危険なことである。
大衆は簡単に、大嘘に騙されるのだ。

そうではなく、我々は、人々がなるべく包摂されるような社会にするべきなのだ。
どうして、個人の暴力が発露されるのか。それは、その個体から社会という縁が切れてしまった
からである。

カルト宗教に取り込まれる人もまた、社会での立ち位置を失ってしまったからだ。
そういう人々がどんな思いで生きているのか、私にはわからない。
わからないが、確かなことは、社会が彼らの存在を無視してきたという事である。

かつてのムラは、息苦しかっただろう。
その一方で、現代の都市は虚しい事だろう。

人々が、何かしらの犯罪を引き起こす時、それは、何かの叫びである。
社会という総体からみれば、それはカナリヤの声であろう。
つまり、社会が歪んでいるという事実を示してくれているのだ。

それなのに、結果を手当しようというのは全くのナンセンスである。
ことが起こるのは、そういう人間を生み出した社会という事なのだから。

我々が今回の事件で反省すべきは、犯人の暴力性批難ではなく、そのような事を
引き起こした彼の境遇である。そして、この社会はそのような人々を生み出すという事実である。

結局、社会が変わらなければ、今後もこのような事件は起こるだろう。
特殊な人の、特殊な犯罪ではない。特定の状況から生まれ得る事件である。
結局、生きづらい社会自体を手当する他無いのだ。
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