失恋の痛みー回復の物語ー [恋愛]

失恋とは、身近にありふれた出来事である。
よくある失恋への対処は、

1、仕事(何か)をするー逃避
2、次の恋人を作るー代替
3、時間が必要ー忘却

これらの手段が良く考慮される。
おそらくだが、これは真実である。人が失恋に際して出来ることは、
このような3つの事のみなのだろう。実際、世界的・歴史的にも明らかである。

もちろん、その状態になってみればわかるが、
上記の対処法は、そんなにすんなりいかない。
思いが強いほど、大抵は七転八倒するのであるし、
下手をすると、命を失うような事態にだって発展するのである。

失恋において一番の問題は、そのやり切れなさである。
後悔の念というのは、とてつもなく強く、これがこじれると体を悪くする。

恋愛においては脳の作用がある。少なくとも特定のペプチドの増量が知られている。
おそらく人間も本能的に規定されていて、ある条件下において、特定の解発が
与えられると生理的に恋と呼ばれる状態になるのだと推測される。
つまり、恋とは、人類と呼ばれる霊長類動物における本能的行動と呼べる。

本能的行動であるから、その強さは計り知れない。
その相手のことをしきりに考えてしまうのである。

恋は盲目とよくいったもので、恋した相手には、精神的服従をしてしまう。
このような行動変化がどうして特定の相手に起こるかは明らかではないが、
少なからず、人類が恋を獲得した時から、絶えず人類の間に起こってきた
現象であり、それがために、人は子孫を残す行動をドライブさせてきた。
おそらく恋とは人をして子供を作らせるための生理的行動である。

だから、恋はときおりおかしなものにも発動される。
これは雛が幼少期に側を通り過ぎる適当なサイズの動くものを親だと
勘違いするのと同じようなことである。ある枠組みに合致する対象がいれば、
人は恋を発動するのである。

さて、恋が脳内現象であるならば、その対象の喪失は相当な痛手である。
恋の対象にある日、別れを告げられたなら、その生理学的な作用は
もはや空回りするしかない。なぜなら、相手に気にいられることこそ、
恋の欲求の最大目的だからである。それが不可能になった場合に、
どう対処するのかなど、問うだけ無駄である。

よって、先の3つの戦略は、恋愛<脳>になっている個人の脳状態の
変遷を待つという理にかなったものである。ようするに解発によって
起こってしまった脳機能回路を抑えるということである。

1、逃避
特定の機能が亢進しているならば、それを抑える手段として、
違う部分の機能を亢進させるというのが一つの手段である。
恋愛が欲求する脳状態から、違うことを意図的に行う事で、
恋愛に陥っている脳から脱却をはかるということだ。

2、代替
次の恋人を見つけるというのは、欲求の矛先を違う相手に向けることで、
気を紛らわすという作戦である。これは恋愛脳を保持したままであり、
対象をすり替えるという荒業である。荒業であるから、大抵はうまくいかない。
自己評価が下がっている際は判断力もにぶっている。相手がたまたま良い人で
あることも当然あるが、恋は特定の条件の相手に対して起こる作用であるから
単純に代替できるものではないのである。冷静になると齟齬が明らかになって、
別れが発生することも少なくない。

3、忘却
恋愛脳状態であることが失恋の苦しさであるならば、その状態からシフトさせて
やれば良い。残念ながら現代においても、そのようなことに対応する薬は見つかって
いないのだが、これを天然に行うのが「時間をかけて忘れる」というものだ。
どうやら、生物には崩れたバランスを回復する機能がそなわっている。その回復
のための機能は数日などという短いスパンの事柄ではなく、もっと長い時間を要する。
恋愛脳は形成されるとよほどか堅牢らしく、その機能を落とすには短くとも半年、
長くて数年程度かかるらしい。多くの事例がその程度の時間スパンを指し示している。
仕事などに打ち込むというもの、結局は、忘却のための助けなのかもしれない。

よって、恋愛の機能亢進が起こってしまった脳を抑え込むには、
現実的は時間によって解決するしかない。逆に言えば時間が経てば、
恋愛脳ではなくなるのである。これは事実であり、誰しもが経験することである。
だから恋愛結婚における関係性は、恋愛期の状態を基本してはならない。
それは互いに少し頭が変になっていると考えるべきなのだ。

失恋の緩和には、まずは忘却なのである。だから、相手からもらったプレゼントや
写真などを全て処分するなどはとても良い手段となる。人は外部からの刺激で思考が
スタートする。だから、周りにかつての恋人を思い出させる何かがある場合は、
うっかりと思い出されてしまって、忘れるための時間が余計にかかるのである。

それから、失恋状態の心理として自己評価の低下があげられる。
自分は捨てられたのだから、取るに足りない人間であると考えたりする。
これは、失恋上やむを得ないのだが、この時にどう自分を助けるかはのちの
生活に大きな影響を与える。

自己評価の低下は否めないので、これに対する考えは二つに絞られる。
一つは、相手を貶めることである。もう一つは、自分を貶めることである。

自分が捨てられたという事実を真っ向から捉えると、とても耐えきれない場合、
その認知的不協和は、相手への感情となって現れる。つまり、自分を捨てるような
相手が悪いのだと考えるのである。自己評価を落とさないための方便となるが、
これが実際の行動として出ると、社会的トラブルを引き起こす要因となる。

例えば、ストーカーである。別れた元恋人が恨みを募らせる。これはよくあることだ。
振った側は、このような衝動を抱かせないために誠意をみせるしかないが、
現代ではこの対処を甘く見る人が増えたように思う。恋愛自体が近年の流行であるから、
その流行における身の処し方は学ぶしかない。振った相手を憎むというのは、すべからく
自己評価に対する認知的不協和の解消に過ぎない。せめて、これを「あんな奴ろくでも
なかったんだ」という悪態にて気持ちを収めてもらいたいものである。

次に自己を責める場合である。自己評価の低下をまともに受け止めると自己を責めること
になる。そして更に自己評価を落とすことになる。捨てられた自分という考えに囚われて
いると、そのように自分を基礎づけてしまうのだ。すると自己評価が下がった人は、
私なんてどうでも良いと自暴自棄になりがちである。これに拍車がかかれば、命を絶つ
人も現れるだろう。それほどまでに、自己評価の低下は苦しいのである。

自己評価の低下が本当に苦しいため、別れた恋人に体を投げ出す女性もいる。
もしかすると私にもう一度振り向いてくれるかもしれないという望みが、
セフレという妥協点にいきつくことだってある。本人が望めば仕方がないのかもしれない。
だが、そのような行為は更に自己評価を低下させてしまうことに気がつく必要がある。

また下がった自己評価を他者によって穴埋めする場合がある。これはすぐに新しく
恋人を作る場合のことを指す。下がった自己評価をサポートするのは、あくまでも
自己である。他者によって自己評価を支えてもらった人の人生はひどいものになる
可能性が高い。なぜなら、自己評価の基準値を下げたままにしてしまうからである。
自己評価を他者によって埋めた人は、他者に心理的依存を行うようになる。その依存は
関係がうまくいっているときは良いが、人間関係の波によって、他者からの心理的
支援を失うこともある。そのときに、実はまだ回復していていない低下した自己評価と
また改めて向き合う羽目になるのである。

失恋は当たり前のように誰にでも起こる。あなたが特別なわけではない。
その特別ではないことにどうしても拘泥してしまう気持ちもわかる。実に良くわかる。
だから、今すぐに立ち直れとも、誰かほかの人を探せとも言わない。それが無力である
ことは既に述べた。失恋をしているあなたには、恋愛脳をあくまで沈静化する期間を
設けてほしいのだ。それはあなたが悪いと自己を責める時間ではない。あなたが本来
持つ自己尊厳を取り戻し、次なる恋愛に向かって進むための準備期間なのである。

失恋には安易な回復の物語は存在しない。一定の時間をかけてゆっくり回復するのみ
なのだ。そして多くの経験者は語る。あれは今となっては良い思い出であると。
そう、失恋の痛みも過ぎれば、過去になり、思い出となる。それもまた事実である。
人間とはそう弱くはできていないのである。

失恋して心痛めている人達には、ぜひとも自分を大事にしてもらいたい。
自分を大事にするという訓練の場なのだと思ってもらいたい。失恋からの回復に
よって人は一回り大きくなる。それは決して悪い事ではない。このような痛みを
経験する事は役立つのだと思いたいではないか。

焦らずに、自己回復をはかる。それが失恋からの回復物語になるのだ。
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失恋の原因は包茎でした。

つらい失恋でなかなか忘却できません。
原因は自分の包茎でした。それが明るみに出る前は
幸せな毎日でした。
そして、後になって家で包茎が治せることを知りました。
しかし、それも後の祭りです。
>>失恋の痛みも過ぎれば、過去になり、思い出となる。それもまた事実である。

すばらしい言葉だと思いますが、どのくらい時間がかかるのか想像もつきません。
by 失恋の原因は包茎でした。 (2013-09-10 21:33) 

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