自閉症ー生物学からー [思考・志向・試行]

自閉症とは、社会的な問題を抱えた人々であり、3つの特徴を持つと考えられている。
1、社会的相互作用の障害、2、コミュニケーションの障害、3、こだわり行動
これらの内容に関連して、言語の得意・不得意などが別要素として存在する。

バロン・コーエンらのグループやラマチャンドランのグループなどから、
自閉症者は「心の理論」の問題であり、その心の理論を支えるミラーニューロンシステムの
異常によって引き起こされるという仮説が立てられている。

自閉症には、自閉症スペクトラムという見方があり、自閉症には確固たる均一の障害が
存在しない事を意味している。上記の障害特徴に強弱があり、一人一人異なる傾向を示すのだ。
他の内蔵的・骨格的病状とは異なり、自閉症には幅広い個性がある。よって、自閉症を
単一の障害と見なすのは本質的には困難であり、臨床的対応も個々人に最適化するほかない。
では、その自閉症に共通破綻があるのだろうか?

現在では、身体的な問題は小さいと考えられている。一つあるのは、腸の弱さが指摘されて
いる。この腸では食物の消化が行われるが、消化能力に問題があれば発達に必要な要素の吸収阻害
などが引き越こされる心配が出てくる。また、腸は第二の脳と呼ばれるほどに、自立的に作動する
内蔵器官であり、ホルモンの放出に関連する。この偏ったホルモンバランスが身体に影響を与えて
いる可能性がある。

とはいえ、自閉症に特徴的な問題はもっぱら脳機能に帰結する。つまり脳の機能性異常が疑われる。
MRとの相違などが明確とは言いがたいのだが、根本的な部分では知能は保たれていると考えられて
いるため、上記の3つの特徴を保持すると自閉症という診断がつけられる事になる。

では脳のどこが変異しているのか。現在では明確な特定部位が無い事が明らかになっている。
少なくとも現在まで調べられている自閉症の脳構造において、健常者と優位に異なる部位は
ほぼない。その意味は、自閉症の人々の症例が単一でないのと同様に、異常性を示す部分が
自閉症それぞれで異なっているという事実がある。脳自体に少なからず機能性異常がある事は
確かである。

現在のアプローチとしてネットワークの異常が考えられている。脳内は白室と呼ばれる神経繊維が
所狭しと走行している。この神経繊維が作り出す脳内ネットワークにはある程度のまとまりが
あることが近年明らかになってきた。その脳内ネットワークに行動・注意・覚醒・空間認知など
に関わり、20程度のネットワークの存在が示唆されている。自閉症者はこのネットワークの
機能不全ではないかという仮説がある。現段階ではまだ明確な答えは出ていない。

これらの身体的所見が明らかにしてくれるのは、自閉症は特定部分の疾患ではないということだ。
脳のこの部分に異常があるから自閉症的症候を見せるというわけではなさそうである。その
意味は、臨床症例にも当てはまる。これこれというような明確な症例が全ての自閉症者に
共通で現れるわけではない。上記の3つの特徴が強弱をもって保持され、社会的状況に適応
出来ない時に自閉症という診断がくだされている。つまりあくまで群の話であって、個々の
人を見れば随分と当てはまらない事が出てくるのである。

一方で、身体から離れて社会的な行動異常から問題点をみよう。これがテーマの生物学的視点
である。社会行動異常であるので、時に人を惑わす事がある。軽微な自閉症者は実社会に多く
存在する。その意味において異常と健常の間には差がないとも言える。つまりとある特徴だけを
見れば自閉症的にみえなくもないという事だ。逆に言えば、上記特徴を強く保持した個人もまた
自閉症と見なされない事も多く、一般社会に存在する。それが時に問題を引き起こしている場合
があるのだ。大事な事は、個性と見える部分と、ある種の障害として見える部分の区別は案外に
困難であるというだ。とはいえ、幼少時の自閉症者は明確に他者と異なってみえるために、
そのような時に必要なアドバイスを受けることはその個人だけでなく、その周りの者も含めて
有効であると考えられる。

自閉症を考える際に、人はどうしても、特定機能異常と見なしてしまう。だが本質は少し重層的
なのかもしれない。身体的な特徴としてアンバランスさを保持するという意味では自閉症者は
全てに共通項を持つ。一方で、ここという部位や機能不全は見つかっていない。困難なのは、
生まれた時点において既に問題を保持しているという事だ。機能不全がある場合も、脳は適応的
であるために、なんとか社会において有効な行動をとれるようになる。そうして身体的問題は
社会的問題にすり替わってしまう事が想像される。

命題0:胎生期の発達異常によって自閉症例が発生する。原因は不明。

既に明らかになっている部分を踏まえて、自閉症の本質に迫ってみよう。
まず、自閉症は胎生期疾患(注)であるということ。生まれた後に、なんらかの外部影響
で自閉症になるわけではない。ワクチン仮説などがあるが基本的に否定されている。一方で、
完全なる遺伝的疾患でもない。一卵性双生児の両方が自閉症になる割合は100%ではない。
よって、母親の体内において身体が組み上げられている最中に何かが起こっているのだ。
現在では遺伝的脆弱性に加えて外乱因子が考えられているが、明らかではない。

命題1:自閉症者は感覚異常を持つ。それは脳機能不全に由来する。

生まれた後に何が起こるのか。身体的障害を抱えた発達障害であるために、様々な波及効果
がある。例えば盲目の人は、目が見えないで育つ事によって受ける影響があろう。当然遠い
ものを認識は出来ない。他の五感を通じてしか外部を把握出来ないわけであるから、その
インプットの情報を利用して成長する事になる。これが盲人の社会性に与える影響が小さく
ないだろう。見えない相手の動きは音や空気の流れなどを手がかりにしなくてはならない。
相手が怒っているのか、喜んでいるのか、声のトーンなどを聞き分けて推測する事になる。
それは典型者と比べて苦労するであろう。一方で、目が見えないために、他の器官が鋭敏に
なることもあろう。盲人の多くは目の前にある物を離れた所から認識出来る。それは空気の
流れや反響音の変化として捉えられる。典型者が出来ないもしくはほとんでやらない方式で
状況把握が可能となる。これが脳の素晴らしい能力である。

これが示唆するのは、自閉症者もまた同様であるということだ。機能不全箇所が脳内に
あるという点において独特である。根本的に問題を抱えていれば産後に生き延びられない。
つまり、脳機能的にうまい情報処理が出来ないけれども、生存までは脅かされない程度の
機能不全を保持している事になる。現在はこの機能不全箇所については未解明である。
自閉症者の手記等を見ると、感覚の鋭敏化、鈍感化が引き起こされている。目や耳が正常でも
処理する系である脳組織が不全である事が疑われるのだ。これが自閉症者の振る舞いを変更する。
特定なものを注視したり、手をヒラヒラさせる行動や繰り返される身体行動などは、
感覚処理系の異常に依存しているのだろう。感覚を楽しんでいるのか、確認しているのか、
身体を探しているのか、ともかく感覚異常から来る行動である。よってこれらの行動自体が
問題ではなく、行動を誘発する「感覚異常」が問題となる。

コミュニケションに関しても同様である。自閉症者に心の理論が弱くしか存在しないのは
確かであろう。だが、心の理論発達研究を踏まえれば、それが経験に依拠した行動である
事は明白だ。つまり、感覚異常を保持する自閉症者にとって、心の理論が正常に発達する
心的状況にならないという事である。典型者であっても心の理論には多少の差がある。
幼少時では、3歳では誤信念課題をこなせないが、4歳では可能となる。つまり発達が
必要な能力であり経験の必要性があるのだ。脳機能不全をもつ自閉症者がこの心の理論を
うまく学習ないしは発達させることが出来ないのも無理は無い事である。

言語の発達が困難ものをカナー型自閉症と呼び、言語には支障が少ないものを
アスペルガー型自閉症という。この定義は明確ではないが、通例となっている。
この言語発達についても上記の状況と同じである。チョムスキーが主張するように
生成文法を先天的に保持しているのがヒトであるが、言語を実際に運用するには、言語に
晒されるという経験が不可欠であり、言語習得の唯一の有効な学習手段である。すると
感覚異常を持つ自閉症者らはここでも不利な状況に置かれる。音をうまく取り入れられない
自閉症者は当然ながら、言語を習得が困難である。そして言語がもつリッチな細部情報と
外界情報とを結びつける事が困難である。自閉症にある程度言語に問題が少ない人々が
いるのは、言語系の脳機能には不備がなかったためと考えられる。

つまり、生まれ持った感覚異常性が引き起こす発達障害は、とりわけヒトの社会性に
大きな影響をもたらすという事である。

命題2:機能不全となる脳機能はモザイク的である。全自閉症者に共通問題部位は不在。

では、感覚異常だけで彼らの振る舞いが説明可能であろうか?脳機能不全が、感覚だけでなく
脳の深部、大脳基底核などにおいても同様に異常を抱えているとすれば、説明可能となる。
自閉症者は時に、異常な記憶力を発揮する。カレンダー計算などは代表例であるが、その
特殊な記憶力はむしろ日常生活に困難をきたす可能性がある。もし、あなたが今日は赤い服
を着ていたとしよう。自閉症者は、その赤い服を着たヒトをあなたと認識する。次の日に
青い服をきて会った時、自閉症者はあなたを認識出来ないかもしれないのだ。つまり記憶が
良すぎるという意味は、汎化の能力の欠如かもしれない。これだけでも如何に彼らの生活が
困難であるかが分かるだろう。また、汎化能力が下がっているとすれば言語能力に影響を
与える。言語とは、現実の物理的存在の違いを乗り越えて、異なる二個のリンゴを同様に、
リンゴと呼ぶ事からスタートする。汎化する能力の欠如ないしは、良すぎる記憶力は結果と
して社会的不適応を招く事になる。

さらに上記の3こだわり行動なども記憶の問題として考えられる。こだわり行動をとるのは、
一つには感覚異常による感覚を捉えようとする積極的行動でもあり、執着があるのは、恐れ
の感情から来る消極的行動である。記憶が良すぎる彼らにとって、同じ位置にないものは、
別のものや別の部屋と感じる要因となる。もし内装が昨日と少しでも異なっていたら、そこは
彼らにとって別の場所になってしまう。我々の海馬にはプレイスニューロンと呼ばれる神経
細胞があり、特定の場所に行くと活動が活発になる事が知られている。つまり場所を覚える
細胞があるのだ。もし、このプレイスニューロンに汎化の作用なかったら、外界の変化は、
あらゆる違いとして認識され、別の場所として記憶されてしまうだろう。それを防ぐには、
極力変化させないという事が大事であり、同じ状況を作り出す事で安心することが出来る。

こうして、脳機能不全の現れが特定の場所で強く出てくれば、当然ながらその行動は影響を
受ける。それが感覚処理系のみならず、記憶系や情動系におよべば、自閉症者の社会生活の
困難さは明確になろう。この不全がどこに強く出るかで、自閉症者の振る舞いに個性が
出るものと思われる。

命題3:自己・他者に関して発達問題を抱えている。

生物学的に動物は他者に対して警戒する仕組みを持つ。うかつに他の個体・他種に近づくと
攻撃されてしまうないしは、補食されてしまうからだ。よって動きを持つ存在には常に注意
を払うように動物は設計されている。同様に、我々人類は、目に対する鋭敏性を持つ。新生児
でも目の模様に視線を向けることが知られているように、それは生まれ持った性質の一つで
ある。目というものが自分に向けられている時、それは緊張状態を作り出す。攻撃されるかも
知れないからだ。一方で母親の視線を感じる事で安心するという感覚もある。これは母親との
心地よいやり取りと母親の視点が結びつけられた結果であろう。原始的には緊張を感じるのが
目である。逆に目は情報源でもある。相手の動作予測に目の向きというのは非常に有効な情報
を提供してくれる。では自閉症者にとっての目とは何か。それは原始的な緊張状態を作る段階
から発達が遅れる事である。つまり、自閉症者にとっての目は不快ないしは疲れを強いられる
存在になる。というのも、脳機能不全によって母親の視線と心地よさをうまく結びつけられ
ないためだ。よって目はなるべくさける方が良いと学習する事になる。

当然ながら、我々は目を使って社会的コミュニケーションをする。目の「怖い」自閉症者は
その情報を利用しようとしない。そうしてまた社会的相互作用を弱くするのである。これは
他者への関心低下にも寄与するだろう。他者を見ない事は、他者の存在を認知しない事に
つながる。それは逆に自己の生成ないしは自己の発達を阻害させる。自己とは他者との相互
作用によって理解される経験則である。自分の振る舞いをメタ視点で眺める事ないしはモニター
する機能が自己であるが、それは他者との関わりを通じて形成されるらしい。現段階では仮説
であるが、自己は他者との関わりで形成される経験依存的存在である。

一方で、心の理論などは、他者の心的状況の把握である。その方法論はむろん、他者への
自己投影である。他者を理解するためには、自己内部において直感的把握が重要となる。
自分を相手の立場に置き換えた時、どんな感情が生じるかをすくいとる必要があるのだ。
つまり、自己の存在が確定しない事には他者を推定出来ないのである。自己の確立が3歳
頃であることと、誤信念課題が出来るようになるのが4歳くらいからというのは符合する。
自閉症者は、脳機能不全によって感覚異常だけでなく、記憶的問題、言語的問題を抱えている。
これが他者との関わりに対する興味を減退させる。つまり他者はひどく面倒な存在なのだ。
まず、目がついている。それだけでかなり緊張状態を誘発する。その上、記憶的問題によって、
常に誰か別の人が側にいる事になる。また、心情が状況に合わせて作られないとすれば、
その他者といる事を心地よいと捉えられないだろう。これらが相まって、他者との関わりが
減じれば、その反対である自己形成の発達もまた鈍化する。こうして自我の未発達さが、
他者に対して自己投影出来ない状況を生み、社会的相互作用障害を引き起こす。
もちろん、これらは極端な例である。個人差が大きい事を付け加えておく。

これらを踏まえると、結論として脳機能不全という漠然とはしているが、
原因の要件は明確であるように思われる。少なくとも、脳機能がモザイク的に異常を来す
という事で、自閉症の症例は全て説明可能である。その意味において自閉症のミラー
ニューロン仮説などは、自閉症を一部説明する。だが、根本は、脳のどこがおかしいと
いうわけではない点だ。ミラーニューロンシステムに異常性があるのは、本来的という
よりも、経験的なものに依存している可能性が高い。少なくとも脳の特定部位に原因を
帰する事は経験というファクターを無視していると言える。繰り返すようだが、脳構造
として特定の部位に異常があるという事実は無い。もちろん脳構造に異常性のある場合
もあるが、それは異常と正常の狭間にある。脳をみても、特定部位の欠損などは現段階
では見て取れない。ミラーニューロンシステムに関わる脳領域などはむしろ、通常に
発達しているように見える。よって、脳特定部位の異常として自閉症を見る事は少々
偏りがあると言わざるを得ない。ネットーワーク的ないしは、経験依存的なものとして
自閉症の症例を捉える必要性がる。

仮説:脳機能不全は脳内ネットワーク異常に起因しており、諸障害は発達障害として
   現れる。胎生期に組み上げられる構造に影響がある外乱が存在する。

それでは自閉症の原因はなんだろうか?また脳内機能不全はどんな事に起因するのか?
私の考えでは、原因はホルモン系などの分泌系の異常ではないかと思われる。
分泌系は脳の広範囲に影響を与える。そして胎生期では分泌系の影響下において
身体が構成されてゆく。おそらく胎児が形成され、脳が組み上げられてゆく最終段階に
おいて分泌される化学物質もしくは受容体の異常があり、それが故に機能不全状態にて
生まれてくるのだろうと思われる。これは双子において100%でない事、自閉症児には
男女差が激しい事(3:1程度)、遺伝子異常からは説明が現代段階では不可能な事(
関連のありそうな遺伝子は自閉症全体の数パーセント程度しか説明しない)、年を経た
父親から自閉症が生まれやすい事、という事実を踏まえた上での仮説である。
分泌系は脳内拡散する。これが脳内にモザイク的に機能不全を引き起こす要因となり得る。
それが機能ネットワークの不全を引き起こす要因にもなる。

もう一つは、今の解像度では見えていないミクロな脳構造異常である。
神経回路を発達させる時のルールに影響をミクロで与えている要因が外乱と
なっている可能性がある。もちろん、分泌系はここにも影響を与えるので、
ミクロな神経回路の異常性は、分泌系異常とリンクするだろう。

自閉症を検討する研究者には、ぜひこの分泌系の検討を重視して頂きたい。
特定の遺伝子疾患である可能性も否定は仕切れないが、それでは双子が説明出来ない
のは既に述べた。ならば、機能不全を与えている主要因は他にあるのは明白である。
これこれ遺伝子ないしはタンパク質が自閉症の要因であるという説は、常に結果に
過ぎない可能性が高い事に留意されたい。むしろ、卵割からスタートする発達系の
異常に関わるものが候補として確率が高いであろう。

最後に憶測話をしたい。
レオ・カナーとアスペルガーは第二次世界大戦中にこの自閉症を報告した。
1943年、44年である。彼らが観察した子供達は3-11歳程度であった(出典忘れ)。
これを踏まえると、少なくとも彼らが見た自閉症者たちは、第一次世界大戦(1914-18)
下において生きた人々の子供である事が分かる。対戦中に生まれていれば、二十歳前後で
あり、その彼らが子供を産めば1930年後半、40年代となる。つまり、戦争時期とこれらの
自閉症報告に関連がある。

もちろん、先天性の疾患として自閉症を呈する人々は戦前もいたであろう。だがその率は
非常に低かったに違いない。だからこそ、カナーとアスペルガーの発表が1940年代に
なったのだ。科学の発達を踏まえても、この時期に急に自閉症が増えたということでなければ
やや不自然と思われる。ただの憶測であるが、自閉症の発生と戦争がなんらかの関連を持つの
ではないかということである。

戦争というものは、我々にとっては想像がつかないほどの状況であろう。
その最中に、どんな生活を送っていたのだろうか?何を食べ、どんな空気を吸って、
どんな水を飲んでいたのか。カナーの報告によれば、自閉症者の親は割合と裕福であった
とのこと。つまり母親の状態は当時として悪くなかったの事が予測される。
その一方で、裕福な家庭だからこそ手にいれられたものがあったのではないか?
それは水なのか食物なのかはわからない。また場所なのかもしれない。そこに
何らかの外乱を与える物質があったのではないか?

現代社会は、戦後の遺産を正にも負にも背負っている。とりわけ化学製品は大きな
進展があった。薬品、農薬、化学調味料、化学塗料、化学繊維これらは戦争中に
多くが開発され、戦後に平和応用された経緯がある。現代も多くの化学製品に囲まれて
過ごしている。

DSMⅣなどにおいて診断基準が変更され自閉症に組み込まれる人が増えたと言われている。
しかし、自閉症者がもし増加傾向にあるならば、それは現代社会の生活習慣に起因している
可能性も否めないのだ。

母親は時に、つわりを起こす。これは胎児にとって危険なものを体内に取り込まない
ための生物としてのヒトのシステムであった。現代でも多くの女性はつわりを経験する。
ストレスなど環境因子の他、とりわけ匂いに敏感になる。そして食べ物に制約が出てくる。
この仕組みはどういうことなのだろうか?気になる点は、このつわり時の食事である。
何かを身体に取り込んでいるのではないか?また、そもそも体内に蓄積されている物質が
胎児に影響を与えるのではないか?加えて逆説的に、現代社会では不足する栄養分がある
のかもしれない。

現状では、どうしても生後の話として自閉症が語られている。
だが、自閉症の本質は胎生期にあるはずである。多くの証拠がそう主張している。
ならば、胎生期に母親がどんなことをしているのか?それが重要な資料となるのではないか。

さらに父親問題がある。戦争中に健康で丈夫な人間が戦地に赴いたとしよう。
すると、生き延びた男たちは、小男であるとか身体が丈夫でないなどの要因を
もつ可能性が高かっただろう。戦争が人間の恣意的な間引きになった可能性を
否定出来るだろうか。戦争中に生まれた子供達がある種の傾向をもつ事も十分に
あり得るのかもしれない。我々は彼らの末裔なのだ。ジーンプールの偏りによる
効果なのかもしれない。

最後の憶測はともかくとして、
自閉症に関しては、様々な角度から研究がされている。
その根本要因・仕組みが早急に理解されることを願っている。

(注)胎生期疾患とはここでの造語である。遺伝的疾患でもなければ、生後の疾患でもない。
受精後の母親の体内において発達に何らかの外乱が発生した事で生まれる疾患と定義する。
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