いじめの原理ー狭い空間 [雑学]

さかな君が書いたいじめへのメッセージ。
http://www.asahi.com/edu/ijime/sakanakun.html

そして、それを受けてのblog。
http://suminotiger.hatenadiary.jp/entry/2014/04/09/094840

内容としては、狭い世界に閉じ込められて、
物理的・心理的に狭さを感じると、動物は他者を排除するという行為に
及ぶようになるということである。

このことが示唆するのは、いじめとは「身体的」なものであって、
思想ではないということである。つまり自然発生してしまうものということだ。
その動機は、自分の不快さの根拠を身近な他者に求めるということなのだろう。

動物という存在は、一定範囲のなわばりという概念がある。
人間における快適空間がどれほどかはわからないが、
パーソナルスペースというものの存在が知られている。
http://www.athome-academy.jp/archive/philosophy_psychology/0000000234_all.html

このような身体的スペースが限られた場合、無意識に人は不快になるのだろう。
その不快の矛先が特定の他者へ向いたとき、いじめが発生するというのは有力な仮説になりえる。
不快のために、他者をいじめることで気持ちが落ち着くという効果と、他者をいじめて、
存在がいなくなれば、スペースが拡大するという効果の両者が存在する。これがいじめる側の
効能である。その動機はしばしば不明なことが多いが、間違えなくその集団が不快な状況に
置かれているというのは間違えない。その解消のために、犠牲になる存在が作られてしまう
のである。犠牲になる対象というのは、特定の特徴が明確にあるわけではない。ただ、
集団の構成者が、簡便に不快さを誘発している要因とみなせる何かを持っていれば良い。
きっかけは、みんなが不快とみなせる要因を共有できる事象があるかどうかである。

一度このような事象が発生すると、集団内に緊張が走る。なぜなら、いじめの対象と
自分がなりえる可能性を感じ取るからである。すると不本意に他者へ迎合する人たちが
現れ、それがまたルサンチマンの温床となる。みんなの意見、正確には声の大きい者、
の意見に従わない人は、不快さを生み出す存在として認定されてしまうのだ。

いじめを起こりにくくするには、身体的不快を防ぐ十分なスペースの確保が必要である。
だが、現実問題としてそれは不可能である。まず多くの人が物理的に人口過密状態に
置かれている。これが不快を誘発する要因になってしまう。次に流動性のない狭い
人間関係に閉じ込められている。学校や職場は、極端に流動性があるわけではないため、
個人が不快を誘発すると認定されてしまう現象が起こりやすくなる。この二つの事象の
発生は何らかのいじめを誘発するであろう。

上記のblogにあったように、ひとつは時に広い空間へと集団を解放するということが
大事であろう。これは物理的・心理的に効果がある。よって遠足や社会科見学など、
レクリエーションは効果があるだろう。次に、ターゲットを作らないことだ。不快さの
要因は、本質的に狭さにあって、誰かにあるわけではない。もちろん、気にいらない
個人はいる。だが、その個人に意見することはあってもいじめていいわけではない。
集団における不快さを個人に向けることは、本質的に良い結果を生まないだろう。

このような場合、我々の理性を有効に利用したい。だが、その理性と感情は裏腹である。
いや正確に言えば、理性とは大脳の機能であり、感情とは大脳基底核や脳幹部に由来する。
よって我々は如何に感情を不快に感じたとしても、理性では押さえ込むことが出来ない。
理性が出来るのは、不快さをやり過ごすもしくは違ったことで気分を変えるということ
だけである。

よって、いじめはいけないといかに教え込んだとしても、おそらくうまくいかない。
大人であっても、虐めを否定するわりには実際にいじめがないと言えないのだし、
子供のように自制が働かない存在では、なおさらであろう。もちろん、学習の必要性は
大事であることに変わりない。問題は、人も動物であり、感情によって行動が基底されて
おり、そこからは逃れようがないということである。

いじめがスタートするとき、いじめる方はその身体的不快を理解していない。
そして、その不快が特定の他者にあると断定してしまう。これを防ぐには、
広い空間もしくは心理世界へといざなう必要がある。

身体的不快が起点ならば、なすすべは必ずある。いじめをなくそうというプロパガンダは
意味をなさない。いじめという構造はまず生まれるものだと認識する必要がある。
そしてその解消は、世界を広くすることにあるのだ。言い含めることでは決してない。
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