心の機微ー男と女ー [恋愛]

他人から気持ちを類推されて「可哀そうに」とか「良かったね」と言われることが
どことなく嫌だった。それが合っていても、違っていても、反応に困るからだ。

他者が自分に向ける共調行為は嬉しくもあり、嫌でもある。
それは自分を理解してもらいたいという気持ちと、そんな簡単に理解されてたまるかという
気持ちの表れである。他者がどのように自分を思っているかが表現される時、人は一番
人柄が出るのかもしれない。

このような心の機微を捉えるのは女性のうまいと言われている。その女性たちは、
男性の心の機微を捉えているつもりになっていることが多い。他者を理解する時は、
自己を投影する。だが、男と女は違うため、投影が誤解を招いている場合は多い。

どうしてすぐに連絡しないのか?なぜ、もっと頻繁に連絡してくれないのか?と
悩む女性は多い。その裏側には(自分なら)連絡するのに、(自分なら)会いに行くのに
というカッコ付きの考えがあるからである。男からしてみれば、それを「我儘」という
言葉に置き換えてしまうのだ。なぜなら、(自分なら)気にしないのにと思っている
からである。つまり男の心を女性は類推可能と思っているだが、実の所、それほど
うまく類推出来ないということだ。

これは男性が女性を類推する場合も一緒である。女性の「どっちが似合う?」にうまく
答えられず、髪型が変わっても気が付かないのは、単純に男性がそのような事にリソース
割かないからである。どっちが似合うのかは自分で決めるし、髪型を変えたは自分の
気分の問題で、他人にどうこう言われることと関係ないからである。

よって、「相手の立場にたって考える」とは大事であるが、類推はあくまで類推に
過ぎない事を忘れてはならない。当然、誤解しているかもしれないと思っておく必要がある。
これをわかっているかどうかは、とても大事な事で、人生における真理の一つと言える。

さて、これから少し離れるが、私がいつも不安になるエピソードをあげる。
それは、女性たちが「あの人はいつも気が利く人ですね」と噂をする時である。
とある男性が誰かに対してわかりやすいサービスをする場合だ。
例えば、まめに連絡をとるとか、人の顔を見てひと声かけるとか、進んで
人が避けるようなことをやるとか、面白がらせるためにバカをしてみるとかである。

男から見ると、あれは気が利くという行為というより、見栄を張ったのか、
受けを狙ってやっているのか、ちょっとした意図を感じさせる行為に見えたりする。
一方で、それを女性たちが褒めているわけである。つまり、その行為が異性に奨励された
瞬間なのだが、すると、自分はどう思われているか?と跳ね返るのである。

自分としては、受けを狙うような、そのような行為を行う気はない。
だが、そのような行為を行う男性を女性は好意的に受けて止めている。
このような時、素直に、そのような行為を行う男がいわゆるモテる男であろう。
逆に、私のような自分が求めない行為を他者の願望にそって行うことを是としない
男はいわゆるモテない男であり、気が利かない男となる。

当然、モテないよりモテる方がいいので、その行為をすればいいだけであるが、
これが案外難しい。例えば、粋の良い青年が粗雑な振る舞いをすると、カッコいいと
なるが、素朴な男がやると、バカに見えたりするからだ。受けをとる行為も同じである。
似合う人と、似あわない人がいる。キムタクなら許されるが、アンガールズの田中では
許されない行為が間違えなくある。

つまり、特定の行為には、それをしても良い人と、してもダメな人がいることになる。
自分の特性が、その行為の評価を分けることになるのだ。
だから、そのような行為が女性たちに受けることがわかっていても、やらないことが
当然あるし、それが自分の「持ち場」ではないと理解できている。

ところが、女性たちはその行為を見て「彼は気が利く」とか「素敵である」などという。
そしてそのような行為をしない男たちを見て、わからないのだろうとか、気が利かないとか
評価する。だが多くの場合、そうではない。多くの男性が、「柄でもないからやらない」
という態度をとっているに過ぎないのだ。

かくして、女性たちは、受けの良い男性たちに群がり、実直な男性たちを敬遠する。
それはあたりまえであるが、女性たちこそがそのような行為を助長させていることも
理解してほしいものである。受けが良かった男はそれを繰り返し、受けが悪かった男は
それをしなくなる。ただそれだけのことである。

よって、女性たちが「彼は気が利く」と言って評価するのは構わないけれども、
それは彼の優しさの表れというよりも、彼の扱われ方に依存している行為なのだ。
だから、それを優しさと勘違いした女性がよく「だまされた」というのである。

男からみれば、それはだましでもなんでもない、ただの行為に過ぎない。
それが男性の性格を反映しているわけではないと気が付く。単なる習慣でやっている
男はまだしも、それが受けると知っていてやっている男は、ふつう性悪というのである。

というわけで、このような女性が下す男性評価には疑問を抱かざるを得ないのだけれども
女性はだまされたとしても、そのような行為を求めているのだろうし、それをする
男性が良いと思うのだから仕方ないのである。そして、自分はこのような考えの元、
結局、モテ行為を行わない「こじらせ男」なのであるが、それは気が利かないのではなく、
気がついてもやらないという考えがあることをお知らせしたいのである。

きっと、世間の「こじらせ女子」とはこのような心の機微の持ち主たちなのだろう。
男性受けを狙う女性をこき下ろすタイプの女性たちである。批判まではしなくても、
男性受けがわかる女性を「性格が悪い」と表現する人たちである。つまり、その行為が
男性に受けるとわかっているにも関わらず、プライドのためか、自身のアイデンティティ
によるのか、それらの行為を行わない、もしくは行えない人たちである。
そして、男性受けする女性と仲良くなる男を見て「わかってない」と思っている。

これは「こじらせ男」と全く同じ心境である。男からみても、どうして女性たちは、
あのような軽薄な男がいいと思うんだろうか?と考えてしまうのである。

そして不思議なのは、そのような「こじらせ女子」に限って、女性受けを狙う男性に
焦がれているように見えるのはなぜだろうか?自分にはない特性を持つということで
惹かれるのだろうか?

男女で価値観が違うとは既に述べた。だが、一方で「こじらせ」のように
同様の価値観も存在する。このような心の機微が女性だけでなく、男性にも
当然あると考える。これが「相手の立場に立って考える」の効能なのだ。

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名無しの権兵衛

貴兄のブログを初めて拝見させて頂きました。男女関係の記事を主に目を通しましたが、まるでモームの小説を読んでいるような痛快さを感じました。w
これだけ興味深い内容ながらコメントが少ないのを察すると、人間というのは理解したくないものは決して理解出来ないのだなぁと当たり前な感想を持ちました。お忙しいとは思いますが、引き続き執筆してくれますよう心から願っております。
by 名無しの権兵衛 (2014-10-20 19:36) 

D-Blue

コメント有難うございます。多少とも楽しんで頂けたようで嬉しく思いますw 最近は更新が滞ってますが、空いた時間にちょこちょこと書いてますので、またお越しくださいー。
by D-Blue (2014-10-24 11:41) 

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