異性ー不思議な相違ー [恋愛]

角田光代と稲村弘のエッセイ「異性」を読んだ。
なるほど、男と女とはかくも違うものなのか!と目からうろこがボロボロと落ちる。

彼ら小説家のすごいところは、人がおもむろに感じていることをうまいこと
言語化することである。「ああ、そういうことが言いたかったんだよ」という内容なのだ。

さて、内容であるが、男女のことについて二人が交互に書簡的に
物事を書いてゆくという体裁である。

こういうと誤解があるのかもしれないが、お二方ともとてもモテるというタイプではない。
だから、どうしたらモテるのかとか、異性がわからないなどと考える。そうやって
考えるからこそ、言語化されてくるのである。よって、この本からモテる手段を
学ぼうと思っても無駄であるが、内容はとても共感できる。(ということは私は・・・)

冒頭ののっけから、角田さんが問う。
「好き」と好意を伝えることは有効なのか?

好きという感情をどうやってフォローするべきなのかは確かにとても難しい。
とある好きな人に、好きと伝える手段はなぜこうもまどろっこしくなるのか?
昔は確かに恥じという気分があった。なぜ、恥ずかしいのか?
なんだかわからないが、好意を伝えるのは「負け」という気がする。
これは角田さんもそう思っている。不思議ではあるが、そういうものらしい。

でも、好意を表象しない限りは、やっぱり伝わらない。

女性はとかく、好意を直接的に表象しないと思う。では男は?
女性に男から好意を示す場合に考えられる反応は随分と極端で、「わーうれしい」か
「マジ、きもい」かのどちらかである。男は少なくともそのような行為を良く見ている。
自意識過剰な男は、よもや告白などして「まじきもい」とか思われたら生きていけない。
よって、好意を示すような行動を極力排除することになる。つまりハイリスクなのだ。
女性の側は好意を示すと負けだと思い、男性の側はリスクだと思っている。
これでは埒があくわけもなく、恋愛は起こらないのだ。

もちろん、気軽に、軽妙に好意を示す男もいる。自分をモテると思っている男だ。
このような男性は実は陰では「まじきもい」と思われているのかもしれない。
だが、多くの女性の中には彼に好意を寄せている女性もいることだろう。
すると、そこに恋愛が引き起こされることになる。そして、彼はまたも思う。
「自分はモテる」のだと。これが繰り返されるうちに彼は女性の扱いがうまくなり、
事実上、モテることになる。結局、経験がものをいうのだ。

ということは、男は「マジきもい」を乗り越える精神性が必要となる。
一方、女性も、もし意中の男性がいるならば、ちょっとしたきっかけを与えるのは、
必要な行為だと思う。それをぶりっ子だの、策士だのとひきょうだのと考えたり、
プライドが許さないなどと考えていては、意中の男性から声がかかる可能性は低くなる。

よく「私、モテない」とのたまう人がいる。客観的にはいろんな人から好意を持たれている
のに、そういうことを言う人は、他者の扱いを間違っているのだろう。
好意を持たない相手に気安く接していないか?好意をもった相手に距離をとっていないか?
男の多くは自意識過剰で、好意を見せることに戸惑いを持っているのだ。そこに、
気安く接する女性がいたら、「あれ?もしかして僕のことを?」と勘違いさせるだろう。
これが要はきっかけである。そうやって、好意を持たない相手をその気にさせる一方で、
意中の人には好意をみせまいとガードが堅いせいで、声をかけられることがないのである。
結果として、「私、モテない」なのである。勿体ない事である。

特有の変な幻想を抱いてはいけないのである。
白馬の王子様幻想とでも言おうか。自分がある日突然、好意を持った相手から見初められる
という幻想だ。自分の真価を認めてくれるという幻想があるのだ。もちろん、意中の人に限る。
こんな虫の良い話は、おとといきやがれである。

普通の男はそんな恐ろしい暗闇に飛び込まない。何が出てくるかもわからない闇に
飛び込むより、薄明りが漏れているいかにも暖かそうな家に向かうだろう。これが男性の
一般的な心理である。だからこそ、時にブス、、、というと語弊があるから、顔が不自由な
方が、多くの恋愛を重ねることがあるのだ。彼女は男にとっての安らぎになり得る。
むろん、付き合ってしまえば、誰でもそう変わらないのだが。。。

意中の人ではない人から、よく声をかけられているのに、どうして意中の人は誘わないのかは
まさに自身の態度の問題なのである。

だいぶ、話がそれてしまった。ちっとも書評になっていないが、
他にもさまざまな内容があり、それぞれがとても確信をついていると思う。
異性について気になるなら、一読をお勧めしたい本である。
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